連休初日の３日早朝、車は阿寒湖を目指して道東道を走っていた。もう少しで清水インターというところでメールの着信音が鳴る。車を路側帯に止め携帯を開いてみると、昨日から阿寒湖入りしているHIGE氏からのものであった。内容を見て驚いてしまった。阿寒湖に浮かぶ氷がまだ姿を残し、湖面に漂っているため本日の渡船は運行中止になってしまったらしい。それで、東邦館の館長を含む、その旅館に泊まっていた客を引き連れて十勝川に向かうというのである。阿寒湖の釣り場は、渡船で北岸や大島、小島などに渡る他、渡船を利用しなくても硫黄山川インレットやボッケから原野まで、徒歩で移動できるポイントがある。だから、渡船を利用できなくても釣りは可能である。迷ったが、阿寒湖の釣りではエキスパートである館長やHIGE氏が十勝川に向かうということは、渡船で行けるポイント以外の場所が芳しくないのかもしれない。それで、私もそのメールを受け取った時に十勝界隈の高速上にいたので、便乗させてもらうことにした。

十勝川河口は、先週末まで特に右岸を中心に景気の良い情報が伝えられていた。既に５月に入っていたが、ひょっとしたらまだ間に合うかもしれないという考えが無かったと言ったら嘘になるのかもしれない。しかし、現実は厳しかった。既に十勝川でロッドを振っていたHIGE氏一行に合流し、昼を挟んで５時間ロッドを振り続けた。結果は小型のアメマス２本のみ・・。後半、ドスンッ！という景気の良いアタリは全てマルタ（特大ウグイ）であった。HIGE氏は館長らと共に昼には阿寒湖へ引き上げた。一緒に上がった地元のフライマンと情報交換。昨日はまだ比較的良かったそうだ。ただ、右岸川でキュウリウオが釣れたそうだ。道東の大河は、十勝川も釧路川も別寒辺牛川もそうだが、アメマスが降海する時期を狙った釣りは、このキュウリウオが釣れ始めたら終焉であると言われている。やはり、連休後半ではタイミングが遅かったのであろう。

前日のHIGE氏、YASU氏との宴会は楽しかった。その余韻を引き摺って渡船で北岸へ渡るため、フィッシングランドへ車を走らせる。昨日の宴会中の作戦会議で、３人いるからヤイタイ崎、恩根内、砂浜の３か所に分かれて入り、情報交換しながら調子の良い場所に移動しましょうと話をしていた。私が最初に入ったところは砂浜である。気温は一桁で、冷え込んではいたが天気はまずまずで、東方にそびえ立つ雄阿寒岳の眺望が素晴らしかった。早朝のアメマスの活性はお世辞にも高いとは言えない状況であった。その時には湖面に浮かぶ氷の姿は無くなっていたが、昨日まではオンザロックの状態であったはずである。水温も極めて０度に近い状態であっただろう。ネオプレーンウェーダーを装着していも、長い時間立ち込んでいると下の方からじわじわと冷たさが這い上がってくるという感じであった。アメマスは、活発にベイトであるワカサギを追い回しながら回遊をしているといった状況では無く、葦近くの底に潜んでいるといった感じである。ルアーを遠くにキャストしても沖ではほとんど反応が無く、葦の中に入り込んでからバイトがあるそんな居付きのアメマスを拾い釣り・・。午前１０時の段階で、ランドできたアメマスはわずか７本であった。

それでも、まだ私が入った砂浜は他よりもましであったらしい。ヤイタイ崎や恩根内方面からHIGE氏やYASU氏が移動してきて、並んでロッドを振る。ここも昼を過ぎる頃には全く反応が無くなってしまい。３人で恩根内方面に移動することにする。恩根内の崎に入っていたYASU氏が連発している。今日初めて、回遊してきたアメマスの群れに遭遇した。YASU氏に混ぜてもらい数本追加。なんとか３人ともツ抜けは達成できたが、２０本には届かなかった。

最終日、私は当初の予定ではこの日も北岸に渡ろうと考えていたが、HIGE氏もYASU氏も渡船せずにボッケ前や大島前の南岸で釣りをするという。本日は昼上がりであるし、YASU氏が私が十勝川でマルタウグイで格闘している時間に、そこでサクラマスを含むコンディションの良いアメマスに遭遇したとのことなので、私も渡船を止めてYASU氏の後にくっついていった。この日は、放射冷却で湖上は一面霧に覆われて、目の前の大島でさえ霞んでいる状態であった。幻想的な景色は堪能できたが、肝心のアメマスからは一向にコンタクトが無い状況が続く。元来、山岳渓流氏の私は、この状況で辛抱強く一か所にとどまり、キャストを続けることはできない。右に行ったり左に行ったり・・、でも、状況は変わらなかった。YASU氏は私が移動している間にしっかりと型を見ている。結局私はこの日ノーバイトで阿寒湖を去ることになった。残念ではあったが、お初にお会いしたYASU氏から、彼が好んで訪れるフィールドお話や釣り関わる貴重な話をたくさん聞けて有意義な時を過ごすことができた。この楽しい時間をセッティングしてくれたHIGE氏とYASU氏には心より感謝したい。でもまあ・・今年の阿寒湖は・・私的には消化不良だなあ（笑）。