晩秋の極東遠征

文化の日が土・日と繋がらなかったのは残念であったが、１１月の第１週に極東遠征を企てていた。その頃なら今年１番のイベントである大がかりな事業所の移転も落ち着いているだろうと踏んでいたのである。ところが、その１週目の土曜日に回避できない仕事が舞い込んでしまった。まあ、これは仕方がないだろう。それで、直前ではあったが１０月最終週の週末に極東への出撃を急遽決めたのである。１１月の２週という選択肢もあったが、この頃になると目指すフィールドは、天候次第では結氷のリスクがあるのだ。今年はやはり北海道の季節の移ろいが２週間程遅れているようである。極東域も例外ではなかったと思う。釧路から根室に向かうR44沿いの広葉樹は、すでに紅葉の旬の時期は過ぎていたが、まだしっかりと枝に葉が残っていた。朝晩の冷え込みに冬の到来を感じる雰囲気はあったが、私が極東に滞在した土・日は、多少風はあったが、日中になると気温も上がり用心して着こんでいたフリースも必要がなくなるほどの小春日和の陽気であった。初日の目的地であるラウンド３に到着したのは１１時を少し回る時間であった。河口が開いていることを期待していたのだが、波打ち際から砂がうず高く堆積して、海まではわずかな距離であるのだけど、残念ながら川とは繋がってはいなかった。上流側から水が流れ、扇状に広がって砂山に吸い込まれている・・。そのため、上流側の止水域は予想通り超満水状態。さらに釣り人の姿は皆無であった。最近釣り人が多くなったと嘆いていたこのフィールドに、１人の釣り人の姿も無いのである。この時点で今日の釣りは厳しいものになるであろうことを予見できた。

出口では小さいアメマスのチェイスを確認できたがバイトには至らなかった。反応も薄いので、核心部に向かって歩き始める。水際が水量が多いためかなり後進していた。小型のスプーンを放射状に打ち込みながら右に進むも、しばらくはアタリさえなかった。右側のワンドに差し掛かったところで待望の１本。３０ｃｍくらいのアメマスが釣れた。続けてもう１本同サイズを追加。４０ｃｍくらいのアメマスのチェイスも確認できた。このエリアは、居つきが中心であるとは思うが多少アメマスは溜まっていたようだ。まだ良いサイズが釣れるだろうと思ってこの２本は写真も撮らなかった。しかし、期待をしていた核心部では、時折コツンという小型のアメマスのバイトがあるが、合わせを入れられるようなアタリではない。河口が閉じられているせいであろうか、まだこのエリアまでは遡上してきていないらしい。場所を移動しながら丹念に探ってみたが状況は変わらなかった。数年前の良い状況を思い出し、サーフに移動する。波は若干高くアゲインストの風も強かったが、ジグならばなんとか釣りになるであろう。本来河口となるはずである水域にジグを打ち込むが、今回このエリアにはアメマスは不在であったようだ。業を煮やして川と海とを繋げる工事に着手した。しかし、スコップの１本でもあれば状況は変わったと思うが、足で掘り進めてもらちがあかない。ラウンド３は諦めてラウンド２に向かうことにした。高台から水域を見ると３人のフライマンが立ち込んでいる。どうしようか迷ったが、既に午後の時間を大分過ぎている時間帯で、他に移動できるフィールドも無い。断りを入れて仲間に入れてもらおうと決めた。水際を進む、１番奥にいたフライマンに背後から「釣れますか？・・」と声を掛ける。やおら振り向いたそのフライマンはなんと！トーシローさんであった。先ほど背後をすり抜けたフライマンはツララさんとお初のいぬ太郎さんであった。「お久しぶりっ！」としばし情報交換をするが、午前中はそこそこ反応があったようであるが、午後からはここもあまり良い状態ではないようだ。彼らが撤収した後も日没近くまで粘って、イワナが２本。最後の最後で遠投を掛けたミノーに４０ｃｍくらいのアメマスが、着水同時に食らいついた・・。明日のラウンド１に期待を掛けて、根室のなじみの宿に車を走らせた。

この時期の極東の夜明けは、トーシローさんに５時２０分と聞いていたのだが、なぜか５時前にフィールドに着いてしまった。それからタックル等の準備をして彼らを待つ。合流後目指す流域に着くと、相変わらずこの流域のライズは壮絶であった。それから、２時間余りの時間は至福の時間を過ごすことができたのである・・。その後ラウンド３に戻ったが、昨日と状況は変わらなかった。３０クラスのアメマスを２本釣ったところで、本日打ち止め・・。１０時を回るころにはこの場を後にした。釣果的にはラウンド１を除いては完全にコケた極東遠征であったが、今年もこの地を訪れることができて良かったと思っている。春もそうだが、海と川とを行ったり来たりしているアメマスの行動にタイミングを合わせるのを実に難しいね。次回は絶妙なタイミングで、またここを訪れたいものだ・・。