春の十勝川遠征

めっきり春らしくなって、気温の高い日が続いていた。当日の十勝地方の予想最低気温が４度。これなら早朝であってもガイドが凍る心配は無い。十勝川で、土曜日の早朝から釣りをしたいと考えていた。そのためのアプローチを数日前からどうしようか思案していたのだ。当初は、早めに現着して車中で仮眠するか・・先に仮眠をとって、夜明けに時間を合わせて真夜中の出発を考えていた。しかし、年度開けには職場の異動も本決まりになり、通常の状態でも年度末で多忙期であるのに、引継ぎ業務が加わって平日はめまぐるしい忙しさである。今週、木曜日には職場の大きなイベントも控えていて、週明けもこの忙しさはさらに加速するであろう。それならば釣りにいくのを止めれば良い。４月からの新生活の準備も段取りもなにひとつ終わったものは無い。だから、釣りに行くのを止めるというのが、現在の私の最も良い選択肢であるし、客観的な判断であろう・・・しかし、それは私にとっての自分自身に課した「武士の情け」でもあるのだ。だから、忙しくて釣りに行けないとは言わない。それは、これからも同じでありたい。物理的に休日に仕事が被さってくるのは、自分の意思でどうにかなるものではないので仕方が無いが、それ以外の部分については、明確な自分の意志を持って、釣りに行く、行かないは決めたいものだ。と言いつつ・・・今のところ、そう思って豪語しているのだけど・・・４月以降、新生活が始まったらどうなることやら・・（笑）

まあ、というわけで翌週になるべく疲れを残さないような行程とした。それは、金曜日にもホテルに予約を入れ、車中泊を回避することである。目的地が帯広であれば、勤務終了後に出発しても９時前には帯広に到着できる。しかし・・・一昔前までは、車中泊を繰り返し、夜明けから日没まで釣り続けても全く平気であったような気がする。最近は気力は衰えてはいないと思うのだけど、身体が休養を要求するようになってきている。短時間であっても熟睡できないと翌日の釣りへの集中力が１日持たなくなってしまっている。一番怖いのが帰路の運転である。仲間と一緒でも、通常は現地集合・現地解散のスタイルなので、行きも帰りも運転は一人である。釣りで疲れた身体を引きずって、４時間以上車の運転をしていると周期的に強烈な睡魔に襲われることが多くなった。これは危ないよね。やはり、いつまでも、若くはないようだ。いつも元気なHIROSHI氏と現地で合流したのは、夜明けから少したった時間であった。強い雨脚ではないが、断続的に雨が降り続いていた。

既にロッドを振っていたHIROSHI氏に状況を聞くと、あまり良い状況ではないようだ。雨と高気温の影響で例年よりも濁りがきついように思えた。高い位置に立つとわかるのだけど、土曜日は岸際が５ｍくらいが強烈に濁っていた。そのためであったのかどうか定かではないが、アメマスのバイト位置が、異常に遠いのである。１８ｇ以上のスプーンやジグをフルキャスト。着水して、糸ふけを取り数巻きでグッグッという根掛かりのようなアタリがある。距離にして７０ｍから８０ｍラインだろうか。腕の違いは置いといて、２０ｇ以上のスプーンを多用していたHIROSHI氏の方にアタリが多かったので、遠投有利は間違いの無い事実であろう。ミノーでショートレンジを何度も探ってみたが、一度もアメマスからのコンタクトは得られなかった。狙った流域は違うが、110-KEN氏ご一行の十勝川スペイキャンプに合流しているムラ氏から連絡が入る。ここは一応型が見られているが、とてもフライの射程ではアメマスからのコンタクトは得られるはずもないだろう。それで、「来ないほうが良い！」と伝える。その後、岸際のナチュラルリリースも入れて、午前中でなんとか８本。６０upもなんとか２本掛けることができた。しかし、バイト位置は相変らず重量ルアーの着水点から数巻きという状況は変わらなかった。雨も上がり、気温がぐんぐん上昇していった。一番高い時で１１度まで上がったと思う。昨年、同時期に十勝川に訪れているが、朝からロッドのガイドがバリバリに凍りついていたのを記憶している。この気温の上昇は、川の濁りをますます加速させる要因になった。午前中の場所で反応が無くなり、午後から何箇所か回ったが、状況はさらに悪くなっていった。HIROSHI氏は２本追加できたようだが、私は１度だけバラシがあったのみで、午後からはアメマスの顔を見ることができなかった。

翌日、一縷の望みを託して早朝アタックをかけたが、十勝川はこの暖気で昨年よりも２週間早く雪白時期に突入してしまったようだ。キャストしたルアーが表層を引っ張っているのにも関わらず、ピックアップ寸前まで姿を確認できなかった。そして、予想通りアメマスからの反応も無い。２箇所ほど回ったが、結局ボーズ。ポイントにはたくさんの釣り人が来ていたが、釣れたと聞いたのは、本日未明から十勝入りしていたAKA氏のみである。１０時を過ぎた時点で、成す術無く、すべてを諦め十勝川を後にした。十勝川は、既に私の中では私的終止符となった。