道南山岳渓流

先週半ばに、BOB氏に日曜釣行の打診メールを送る。相談の結果、行き先は、道南日本海側のヤマメ領域にターゲットを絞ることにした。私がＦ川水系を提案すると彼は快く承諾してくれた。ここは、例年であればヤマメの解禁時期は水量が多くて釣りにならない場合が多く、ヤマメ解禁ラッシュからは竿抜けになることが多い流域であると思っている。ところが、今年はやはり暖冬の影響か・・雪白も早い段階で落ち着いてしまい、解禁ラッシュの渦中に巻き込まれてしまったようだ。予想通り、当初予定していた流域には車が停まっていた。それで、そこよりも上流域へ入川することにする。ここは、イワナとヤマメの混生領域であるが、イワナ８に対してヤマメは２という割合になる。さっそく、BOB氏と交互に釣り遡った。いつもであれば、ほぼ全てのポイントから、型はともかくイワナの反応だけはあるのだけど、極めて渋い状態であった。いわゆるポイントと言われているところからは出ない。なんとか尺上ものも含めて、数本のイワナをゲットできたが、それは、「ここから？！」というような何の変哲も無い瀬であったり、ボサ下であったりした。やはり、この流域も釣り人の洗礼をしっかりと受けているようだ。この場を諦め別流域を探ることにする。

BOB氏にはせっかくここまで足を運んでもらったので、なんとかこの水系のどこか別流域で、釣りを楽しんでもらおうと考えていたのだけど、私が入川しようと思っていたところは、全て車が停まっており、釣り人の姿があった。ここが最後と訪れた場所でも、ちょうど２人組の釣り人が車から降りてきて、川に入ろうとしているところであった。車から降りてBOB氏と顔を見合わせ苦笑い・・・そこで、また臨時の作戦会議だ。協議の結果、ヤマメ領域には見切りをつけることにした。川を替えてもヤマメ領域であれば、結果は同じような気がした。また仮に釣り人の姿がそこには無くても、有名河川では良い釣果に結びつくことは無いだろう・・・・。実は、イワナ領域ではあるが、ちょっと気になる河川があった。そこには、２年前、下の流域にさわりで入ったことがあるが、上は詰めてはいない。痕跡は見てはいなかったが、熊の巣窟であるのは間違いのない事実で、単独で奥まで入るにはかなり勇気がいる川だ。今日はBOB氏という頼もしい相棒がいる。この川を探釣するには、良い機会かもしれない・・そんなことを、提起するとBOB氏は快く承諾してくれた。２台の車は、一気に南下することになった。

目指した川には、林道はあるが途中で崩壊していてそれ以上車を先に進めることができなかった。それで、BOB氏と歩いて上流域を目指す。もちろん、熊鈴、爆竹、なた、撃退スプレーの４点セットは必需品だ。下流域は、なんの変哲も無いどこにでもあるありふれた山岳渓流の佇まいである。ところが、ある地点から一気に高度を稼いでいく・・・いわゆる、階段渓流の様相を呈しているようだ。イワナの付いているポイントは、連なった落ち込みの釜の部分となる。餌やフライの釣りであればピンスポット的にサスペンドさせる釣りが可能であるのだけど、ルアーの場合はそれを泳がせる距離が必要なのだ。稀にスポットにルアーを落として、上下に煽ってやると喰いつくことはあるが、一般的ではないだろう。特にアップでのミノーの釣りの場合には、その距離が長ければ長いほどヒットさせる確立が高くなる。ダウンのようにルアーを流れに任せてサスペンドできないからだ。私的には最低でも３ｍは欲しいところだ。ところが、この渓は大きくても１．５ｍ・・・小さいものは１ｍも無いところが多かった。通常であればルアーで釣りをしようなどとは思わないだろう・・・入渓してまもなく、すでに川の様相は、ルアー領域を超えていたのだ。しかし、私もBOB氏もあきらめなかった（笑）この１．５ｍのリトリーブレンジに全てを賭けることにした。ピンポイントを狙って、ルアーをキャストし、カウントダウン・・・・。使うミノーはシンキングが望ましい。この時期、イワナは冷水温ゆえ、ボトムに張り付いていたり、岩陰に隠れていたりしている。フローティングでは、ルアーの発見が遅れ、リトリーブレンジが短いので追いきれずＵターンしてしまう場合が多い。着底と同時に軽くジャークしてイワナにアピール、そして、軽いトゥイッチを入れて釜の流れ出しまでルアーを引っ張る。この間わずか５秒といったところか・・・。それまでにイワナを喰わせられたら私の勝ち、喰わせられなかったら私の負けだ。もちろん結果は、勝ったり負けたりした。おもしろかったのが、ルアーに連られたイワナが、喰いきれずに。下の釜に落っこちてしまう光景を何度も見たことだ。思わず苦笑い・・・また、下の釜から上の釜を狙う場合、高低差があって目線でルアーを引っ張ることもあった。尺上のイワナが群れをなしてルアーを追っかけてくる様は実にスリリングで実に楽しかった。かなりの数のイワナをバラしてしまったが、変化のあるポイントと無垢なイワナたちに酔いしれた数時間であった。