若い頃、釣りを知らない奴に釣りの話を熱く語ることは、実に虚しく感じることがよくあった。こちらの熱き思いが相手にうまく伝わらないのだ。どんなにこちらが興奮して身振り手振りを加えて話をしても「ふ〜ん・・」とか「ほ〜・・」とか気の無い返事しか返ってこない。まあ、聞かされる相手にしてみればさして興味の無い、面白くない話なのだろうから当然と言えば当然のことなのだろう。私に対して、連続テレビドラマの話を興奮し、目をキラキラと輝かせて滔滔と語る同僚のお姉さまががいたが、私の反応は、やはり「ふ〜ん・・」とか「ほ〜・・」とかであったことだろう。これと同じことだ。やはり、同じ土台の上に乗っかっていないとこの手の話題は、長続きしないし、話すほうも聞くほうも面白くないし盛り上がらないよね。そんなことに気がついてから、釣りをしていない奴に釣りの話をするのはきっぱり止めてしまった。昨年の９月に職場の同僚の女の子がカレイ釣りに行きたいというので、後２人誘って４人で船をチャーターし出撃したことがあった。女の子はカレイ釣りなどの船釣りは、以前の職場でも何度か行ったことがあるらしく、幾分経験があるようであったが、残り２人は子どもの頃に投げ釣りを何回かやったことがあるという程度でほとんど釣りを知らない連中である。その時は、船釣りであったので他に迷惑もかかることは無く、カレイも適当に釣れて楽しい思いができたと記憶している。年が明けて、同僚たちが私に尋ねる。「shinyaさん、冬でも釣りに行っているんですか？」と・・・聞かれた以上無視することもできないので、「行っているよ」と私。「何が釣れるんですか？」と同僚、「海アメ・・」と私。「ふ〜ん」と同僚。これ以上は続かない。それでもって終了だ（笑）おそらく、アメマスという魚を知らないのだろう。実に虚しい・・それ以上は語る気もしない。ところが、先日職場のスキー会で宿で飲んでいる時に、たまたま釣りの話になり、「是非行きたいので連れて行ってくれ。」と言う。その時に私は酒に酔っていたせいもあって「まかしとけ！」みたいなことを言ってしまったらしい。ちょうど、同僚の女の子がとある役員を引き受けてくれて、その慰労の席を設けなければと考えていた矢先のことであったので、釣りかねて温泉一泊と目論んだ。そして、今回の出撃となったわけである。彼らは、海アメ釣りはおろかルアー釣りの経験すら無い連中だ。当然タックルは持っていないし・・ウェーダーも無い。タックルやルアーは４人分なんとかなるだろうけど、ウェーダーはどうしようもない。長靴で可能な釣り場と・・後、ルアーがどこに飛んでいっても回りの釣り人に迷惑が掛からない釣り場と・・・いろいろ考えていると、ちょっとだけ気分が憂鬱になってしまった（笑）

自分に今回は釣りがメインではないということを言い聞かせ、出発は遅めにした。出撃場所は、混みあった釣り場は回避したかったので瀬棚とした。現地には８時過ぎに到着。予想通りベタ凪だ。今回は、ベタ凪のほうが良いと思った。なにせ、長靴でサーフに立つのだからね・・（笑）まずは、すでに誰もいなくなった港内で連れのためのルアーキャスティングレッスン。思っていたよりはライントラブルなどは少なかったけれど、やはりキャスティング方向は、最初正面１８０度の範囲でルアーが飛び交う。横に立っているのがちょっと怖くなって後ろに廻って指示。しばらくキャスト練習を続ける。しばらくすると、距離はともかく射程角がなんとか正面90度くらいにまで収まるようになってきた。それで、突堤の外側のサーフへ出ることを決意した。１００ｍほど左へ進んだところで、ふと見ると同僚の一人竿が曲がっている。えっ！と思ったが竿の先にはしっかりと生体反応があるようだ。ランディングしてみるとなんと！４５ｃｍ。私も驚いたが、釣った本人が１番びっくりしているようだ。それから、なんとか私にも１本。師匠としての面目を保つことができた。（笑）その日は、その後アタリは何度かあったがショートバイトが多く２本目の姿を見ることはできなかった。早めにホテルに戻って晩餐会。今回はこちらがメインである。予定通り楽しい会話の中で終えることができた。翌朝、朝食をとってからゆっくり出かけた。目的地は、やはり風車裏。HIGE氏の情報で、河口にも足を伸ばしてみたが、元々狭い駐車場は満杯状態。浜には釣り人がずらっと立ち並んでいる。ここでは、連れの監督として釣りをする勇気は私には無かった。それで、場所を移動。私は、今日はフライで挑戦してみた。結局２バラシで終了。昨日とは別の同僚が小型ながら１本掛ける。その後反応が無くなり、仲間もキャストが大分慣れてきたようなので島牧に移動することにした。以前から目をつけていた途中のロックで竿を振る。そこで、昨日の一発目にヒットした同僚が６０ｕｐをミノーで掛けた。著しく体腔のあるアメマスで、リールのドラグが鳴りっぱなしであった。際まで寄せて抜きあげようにもロッドが曲がるだけでとても無理。アキアジ対応ロッドだぜ。仕方なく隣の別の同僚がラインを持って抜き上げを試みたが、アメマスを水中から引き上げの時にあえなくラインブレークだ。タモを持ってくれば良かったね。申し訳ない。私には、１本追いがあっただけ・・・・。結局島牧では竿を振ることなく、無事珍道中を終えることができた。同僚３人のうち２人は長靴に水が入りまくり・・次回釣行に備えて、ウェーダーの購入を心に強く誓ったようだ（笑）